取引所が新業界団体を設立して合併 自主規制ルール制定に進展 (その2)

取引所が新業界団体設立

ライターの結城です
統合へ向かっている二つの仮想通貨関連団体についての続報です。(前回の記事はこちら


 

日本国内の仮想通貨関連団体

 国内に仮想通貨関連団体は大きく3つあります。

日本仮想通貨事業者協会(JCBA)、日本ブロックチェーン協会(JBA)、そしてブロックチェーン推進協会(BCCC)です。これらのうち、今話題になっている二団体が、金融庁の要請を受けて合併を模索しています。

マネーパートナーズ、BitobankZaifなど、大手取引所のほとんどが加盟している「日本仮想通貨事業者協会(JCBA)」と、bitFlyerが主導する「日本ブロックチェーン協会(JBA)」です。

この二団体は、設立の経緯や理念も異なる全く別の団体ですが、最も大きな違いは会員企業の構成でしょう。JCBAは正会員に取引所運営企業、準会員に金融関連企業が多数名を連ねています。一方で、JBAの会員構成はIT系企業が中心です。

 

金融機関が多いJCBAと、IT系企業が多いJBAでは、価値観や方針が異なるのは当然です。昨年秋から金融庁に合併を促されながらも、両団体の交渉に時間がかかったのは不自然なことではありません。


金融庁の管轄は取引所だけ

今回の件で金融庁が監査・指導をしているのは取引所だけです。金融庁は、ブロックチェーン関連のIT企業に対して特別な動きを見せていません。金融業を営んでいないIT企業にとって、金融庁は監督省庁ではありませんからこれは当然です。
一方で、金融機関の監督省庁は金融庁であり、金融機関にとって金融庁は絶対的な存在です。従って、会員に金融機関が多いJCBAは金融庁の意向が通りやすいでしょう。
他方、IT企業にとって金融庁は怖い存在ではありません。両団体のこのような構成業種の差が、両団体の合併が進まなかった大きな理由の一つであったと思われます。


金融庁の圧力

 しかし、今年に入ってからCoinCheckのXEM(NEM)不正引き出し事件などにより、金融庁は取引所運営企業に対して異例の立入検査を実施。同時に規制強化に関する発言を度々行うなど、相当厳しい態度を取っています。そして、行政だけでなく自民党の議員連盟が業界団体にヒアリングを行うなど、政治家までが取引所に不信の目を向ける事態となりました。このような状況になって、ようやく両団体の中心企業はその重い腰を上げることとなりました。

とはいえ、両団体は双方60以上の企業が加盟しています。これらの企業の合意を得ていては、合併は進みません。しかし、しびれを切らしている金融庁を無視すると、業界団体の意向を無視した強力な規制を制定されるかもしれません。焦った取引所運営企業は、まずは取引所だけで集まって新団体を設立、という流れになりました。


合併といいながら新団体設立の矛盾

 設立される新団体については、報道されているところによると、まずは取引所関連企業16社でスタートすることになるようです。つまり、業界団体の統合といいながらも、実質は新しい業界団体が増えるだけというのが実態です。上にも書いたように、JBCとJCBAは会の性質が異なります。これら2団体がスムーズに合併できるかどうかは未知数です。

 金融庁としては取引所の自主規制ルール制定が進めばとりあえずは満足でしょうし、行政が市場に介入しすぎることは自由競争を妨げることにもなり、かえって市場の活力を奪うことになりかねません。新団体が設立された後は、金融庁の合併に対する圧力は緩和されるでしょう。そのような状態になったときに、旧2団体は果たして自主的に困難を乗り越えて合併に至れるのでしょうか?

 仮想通貨やブロックチェーン関連事業は新興産業であるだけにまだまだ業界内でのコンセンサスが取れていないのが実情です。しかし、個々の企業が好き勝手にふるまっていたのでは業界の健全な発展は望めず、再び大規模な不祥事が起こる事でしょう。仮想通貨とブロックチェーン技術の未来のためにも、両団体と会員各企業には自社の利益を超えた協力をしてほしいものです。