<G20解説>ビットコイン高騰の原因はFSB議長のコメントか

深掘り解説

19日未明からビットコイン価格が高騰しました。
その理由の1つは、金融安定理事会がG20向けに出したコメントではないかと分析されています。


ビットコイン価格高騰

日本時間18日深夜までビットコイン(BTC)価格は下落を続け80万円を割っていましたが、19日未明から急騰し2時間で87万円程度まで10%程上昇しました。
この急騰の直前に提出された、金融安定理事会のコメントがその原因だろうと分析されています。


FSB総裁が楽観的コメント

金融安定理事会の議長で、イングランド銀行総裁でもあるMark Carney氏が、FSBとして「仮想通貨は世界金融の脅威ではない」とG20に向けて発言したことで、仮想通貨対策のための規制が緩いものになるのではないか、と観測されたことが原因の一つではないかと分析されています。

金融安定理事会(Financial Stability Board:FSB)とは、国際金融に関する措置、規制、監督などの役割を担う国際組織です。
各国の中央銀行や財務省が情報交換をしたり、世界規模の金融政策などについて提言したり監視したりする機関です。本部はスイスにあります。

また、現在のFSBの議長であるMark Carney氏は、イングランド銀行(Bank of England:BoE)の総裁でもあります。イングランド銀行とは、イギリスの中央銀行です。日本でいえば日銀に当たります。

イングランド銀行総裁兼FSB議長のCarney氏は、G20開催の前夜である18日に、次のようなコメントを出しました


「FSBの初期評価として、仮想通貨は世界の金融安定性に対して脅威とならない。なぜなら金融システムとの関連性が低いからだ。
最近の仮想通貨のピーク時でさえ、仮想通貨の総価格は世界GDPの1%未満であった。それと比較して、2008年の世界金融危機の時にクレジットデフォルトスワップで用いられた総額は、世界GDPと同額(100%)であった。
その流通量の少なさだけでなく、仮想通貨は現実の経済ではほとんど用いられていない事実からも、仮想通貨は金融システムとの関連性は限定的だ」

“The FSB’s initial assessment is that crypto-assets do not pose risks to global financial stability at this time. This is in part because they are small relative to the financial system. Even at their recent peak, their combined global market value was less than 1% of global GDP. In comparison, just prior to the global financial crisis, the notional value of credit default swaps was 100% of global GDP. Their small size, and the fact that they are not substitutes for currency and with very limited use for real economy and financial transactions, has meant the linkages to the rest of the financial system are limited.”


このレターのタイトルは
「G20 財務大臣と中央銀行へ 」 (To G20 Finance Ministers and Central Bank Governors)
とされているように、今日から開かれるG20向けに宛てたものです。


タカ派のCarney氏が軟化?

このブログでも先月下旬頃からなんども取り上げていますが、「G20では、仮想通貨に対して強力な規制が制定される可能性が高い」と市場では予想されていました。また、期間初日の今日でさえ、規制強化を予想する記事が色々と出ています。

しかし、FSB議長兼BoE総裁が、このような楽観的なコメントをG20向けに出したことは仮想通貨相場には好材料となり、今朝未明からBTC相場は反発する結果となった、と分析されています。

なお、Carney氏は、BoE総裁としてのコメントで仮想通貨に対して非常に敵対的な発言を繰り返していることで有名です(こちらの記事参照)。
しかし、今回はFSB議長として上記の通り非常に楽観的な発言をしています。
Carney氏がBoE総裁としての過去の発言を修正したのか、それともBoEとFSBの二つの代表としての立場を使い分けてるのかは判りませんが、タカ派とみられていた人物率いる組織が楽観的なコメントを出したことで、市場は好材料と判断したようです。


G20の行方は引き続き不透明

一方で、各国財相や中央銀行は仮想通貨の規制の重要性を繰り返し訴えていますので、今回のG20で最終的にどのような規制が設けられるかはまだ判りません。

G20 では、今日19日と20日(現地時間)の両日とも仮想通貨について話し合われる模様ですので、キーマンの発言次第でまた相場が乱高下することでしょう。