ソウル市 「独自通貨 S-Coin発行」

時事できごと

ソウル市が仮想通貨を発行と発言
注目が集まる韓国政府の対応

 

韓国の首都ソウル市の市長が、コインデスクのインタビューで、独自通貨を発行する計画を発表しました。


混乱する韓国の政策

コインデスクが報じたところによると、韓国の首都ソウルのパク市長が市独自のコインを発行し、各種公共機関などで利用できるようにする計画を近日中に発表するようです。

今年1月以降、韓国政府は仮想通貨に対して、取引やICOを規制する方針を公式に表明し続けています。しかし、最近は規制を緩和する方針を政府高官が発言したり、また韓国の大手銀行が取引所開設を検討していると表明したりと、政策が迷走している印象を受けます。
また、世界第二位の仮想通貨取引所であるHuobi(フオビ)が韓国に支店を開設して取引を開始したことも、韓国政府が仮想通貨事業の規制を緩和するのではないかという市場の見方を後押ししています。

韓国は、仮想通貨に関しては、先進国の一つであると言えます。とりわけ仮想通貨取引量は人口比率で考えると世界有数です。年初以来ビットコイン(BTC)の価格が下落して、投資家のマインドが冷えている現在においても、日米に次ぐ規模の取引が行われています。

そのような背景もあって、韓国では仮想通貨を用いた新規事業やICOの計画が毎日のように発表されています。


ソウル市の独自通貨発行計画

ソウルの市長 パク ウォンスン氏は「ソウル市が 独自コインである S-Coin を発行する」と計画を発表しました。コインデスクのインタビューに答えました。S-Coinは地下鉄の支払いなど公共施設で利用できるほか、公務員の福利厚生、公共料金の支払い、職業斡旋所のサポートなどで利用できるようにする計画であると、市長は述べます。

しかし、この事業は様々な困難も予想されます。まず、韓国政府は昨年末頃から仮想通貨に対して強い反感を表明しています。また、北朝鮮によるものと思われる仮想通貨の盗難事件もこの規制強化に拍車を掛けました。
韓国の金融当局は、仮想通貨の規制を強化する(完全禁止を含む)方向で議論を進めていました。しかし、3月に以降は発言にブレが目立つようになり、一定の基準を満たした場合はICOを容認する、という報道もされるようになりました。

前述のパク市長は「S-Coin計画が効果的に実行されるためには、さらなる法整備が必要だ」とも述べており、行政が独自通貨を発行して公共サービスを抵抗するためには、まだまだ様々な法律や規制の壁があるようです。


仮想通貨と行政

行政がブロックチェーン技術に興味を持つ理由は、経済だけではありません。ブロックチェーンの技術は改竄不能な非中央集権的なシステムであるため、本人確認(ID確認)、事業や福祉のライセンス、納税の証明など、様々な応用が出来るからです。
したがって、今回のソウル市の計画は行政にとって先進的なことではなく、ブロックチェーン技術と仮想通貨が認知されるようになって以来、世界中の様々な都市や国家で議論されています。有名な例はベネズエラのPetro(ペトロ)でしょう。

ソウル市長は、近日中にS-Coinのロードマップを発表する計画であると述べています。
しかしながら、上述した法的な面での困難だけでなく、技術や投資など様々な障害があるため、計画の遂行は一筋縄ではいかないことは容易に想像が出来ます。
一方で、首都の行政が仮想通貨を発行するという方針に対して、韓国政府がどのような態度を示すか、政府高官がどのような発言をするかには注目が集まるでしょう。

現在の所、韓国政府と当局は、仮想通貨について否定的な見解を示しています。したがって、ソウル市長のこの計画は、政府にとっては受入れがたい計画かもしれません。しかし、もし韓国政府がソウル市の計画を黙認するようであれば、それは韓国が仮想通貨に対する規制緩和に舵を切った証明として市場に受け止められることでしょう。