国内ICO基準 自民議員等がガイドライン

時事できごと

急がれるICOのルール整備
関係機関からの提言が活発化

 

ライターの結城です。
事実上一時禁止となっている国内ICOについて、水面下で進んでいたルール整備の動きが3月以降次々に公表されるようになりました。
自民党IT戦略特命委員長の平井卓也議員と多摩大学が5日にICOの基準制定に向けた提言書を発表しました。


現在、国内でICOは事実上禁止

 金融庁は、昨年10月の通達により、日本国内でのICOを事実上不可能にしました。この措置は恒久的なものではなく、基準に沿った信頼性の高いICO案件のみが資金調達できるようにするものです。しかしながら、その「基準」が無いため、誰もICO出来ない状態が続いています。
この状態を解消するため、国内では産官学が連携してICO及び仮想通貨取り扱いの基準作りを進めています。
そして今回、自民党議員や大手金融機関などが参加し、多摩大学ルール形成戦略研究所(所長 國分俊史氏)が主催する「ICOビジネス研究会」が4月5日付で「提言レポート」を発表しました。

「ICOビジネス研究会」は、健全な市場形成に向けてICOの指針作りを行っています。座長は多摩大学院教授の國分俊史氏で、顧問に衆議院議員で自由民主党所属、IT戦略匿名委員長の平井卓也議員を迎えています。会員に、NTTドコモ、GMOペイメントゲートウェイ、3メガバンク、野村證券、大和証券など通信や金融の大手が参加しています。


顧問はデータ活用推進基本法の成立を主導した議員

提言書の作成に参加した顧問の平井議員(当選6回、香川1区)は、昨年のデータ活用推進基本法の成立を主導した議員の一人です。この法律は、AIやIoTなどを法律で初めて規定した画期的な法律で、データを活用したサービスやビジネスを活性化することが期待されています。
これまで法律においては、「データ」とは、個人情報保護法などのように、保護することに重点が置かれて論じられ、制度が作られていました。しかしそもそもデータとは活用されるために集められたものですから、保護方法ばかりを規定していたのでは十分に役に立てることが出来ません。このデータ活用推進基本法は、その名が示すとおり、データをどう活用するかに焦点を当てて作られた法律で、例えばマイナンバーカードのデータ利用方法などもこの法で定められました。色々と物議を醸したマイナンバーは、個人情報などセンシティブな情報を大量に含むために、各企業や行政は腫れ物に触るようにその取り扱いに慎重になっていました。しかし、この法が一定の取扱指針を示したことで、今後はマイナンバーカードのデータ利用が進むことが期待されています。

今回ICOビジネス研究会が公表した提言に、データ活用推進基本法の成立を主導した平井議員が参加していることは、関係者に大きな期待を抱かせるものです。


期待されるICOの法整備

このデータ活用推進基本法とマイナンバーの構図は、仮想通貨やブロックチェーンにも当てはまります。上記の通り、金融庁は国内ICOを事実上禁止状態にしました。しかし、それでは国内のブロックチェーン技術の発展や、中小企業の成長を奪うことになりかねないため、法整備や適切な規制設定によって、ブロックチェーンと仮想通貨産業の活発化を促すことは必要です。

諸外国、たとえば中国や韓国、米国などは仮想通貨ビジネスを制限し、その経済活動を縮小させる方向へのルール整備ばかりを進めています。現在の日本でもこれは同様で、資金決済法を管轄する金融庁では、取引所(交換業者)の業務を縮小させる方向でのみ規制を行っています。しかし、安倍政権下では麻生副総理をはじめ財務省や通産省が、ブロックチェーンと仮想通貨によって日本経済を活性化する方向で法整備や規制の制定を進めています。また、金融庁も取引所と頻繁に協議を行って新ルール整備を急いでいます。金融業界においては、UFJ銀行やみずほ銀行が独自コイン発行を前向きに進めていたり、SBIグループがリップルなどとの提携を急速に進めていたりとブロックチェーン技術の開発に積極的です。このように、日本はブロックチェーン技術の金融利用については、他国に比べて非常に進んでいる国の一つです。

このような動きに後押しされて、国会の金融に関連した委員会等でも、仮想通貨の取引に関する規制や法整備がたびたび取り上げられるようになっても来ました。


国内ICO解禁に向けて

金融庁は国内ICOを永続的に禁止しようとしているわけではありません。現在金融庁は仮想通貨の取引所とICO基準の制定を進めています。仮想通貨取引に関連する業界では、ゴールデンウィーク明けに金融庁がICOの新たな基準について何らかの発表をするのではないかと噂されています。とはいえ業界自体の変動が激しいため、かなり不透明ではあります。しかし、いずれにせ今回の提言発表のように、産官学が基準制定に向けて急ピッチに作業を進めていることは事実です。

次回は、今回発表された「ICOビジネス研究会」の提言の中身について分析していきます。