BinanceやOKExの誘致に成功したマルタ共和国(その1)

深掘り解説

ギャンブルアイランドの今後はどうなるのか?

 

海外の大手仮想通貨取引所Binance(バイナンス)の誘致に成功したことで話題になった、マルタ共和国は、EUにおいて仮想通貨を歓迎する地域というポジションを取ることにより、仮想通貨取引所の聖地となるための計画を進めている。
Binanceのマルタ支社設立発表に続き、中国の大手取引所のOKEx 、ドイツのブロックチェーン企業Neufundも、マルタに事業所を設立する計画を発表している。さらに仮想通貨Tron(米国)の代表者であるジャスティン・スン氏も今年3月、マルタへの投資と事業の開始を真剣に考慮していると語った。


マルタ共和国

マルタ共和国は地中海の小国だ。イタリア南部に位置し、人口は41万人、面積は316平方キロメートル。日本で最も小さい都道府県である香川県(人口96万人、面積1,800平方キロメートル)と比較しても、その小ささが際立つ。EUに加盟しているれっきとした独立国家だが、「マルタ島」と呼称されることが多いほど、国としての存在感は小さい。美しい海と街並み、温暖な気候などで観光地として人気であり、国の主要産業も観光である。
だが、マルタにはもう一つの顔がある。それは、EUきってのタックス・ヘイブン(低課税地域)であることだ。 また、企業に対する各種規制も緩い。税率の低さと規制の少なさは外国企業を魅了し、とくにEUでオンラインカジノを営む企業の多くがマルタに登記上の住所を置いている。オンラインカジノ企業がもたらす税収は同国のGDPの1割を超えるとも言われている。

このギャンブルアイランドの発展は仮想通貨によって今後どう変わっていくのだろう?


海外取引所を閉め出す日本政府

 日本政府は今年1月に起きたCoinCheck事件依頼、仮想通貨に関する規制を急ピッチで進めている。特に、海外企業に対する規制の強化は著しい。 3月23日、Binanceは日本の金融庁から警告を受け、日本人向けのサービスを停止するよう求められた。Binanceが金融庁の「指導」に従わなければ対策を講じる、と金融庁は脅しをかけた。

 昨年4月、日本政府は資金決済法を改訂した。この改正で特筆すべき点は、仮想通貨の存在を法的に定義し、合法性を保障したことだ。 同時に、仮想通貨の交換所(取引所)を法的に管理下に置いたこともまた同様だ。交換業者として登録されたも企業と、みなし登録業者のみが日本国内で営業することができると規定されたことにより、市場の健全性がある程度保障されたと投資家からみなされ、日本は仮想通貨先進国となった。
この法改正と金融庁の方針は、日本の仮想通貨業界の発展にとって重要な転換点となった。 一方で、日本の金融庁の管理下にない外国企業にとっては日本進出の障壁となり、BinanceやHuobi(フオビ)等の日本進出を伺っていた企業は、最終的に撤退を余儀なくされた。


海外企業を歓迎するマルタ

Binanceが日本に「拒絶」された後、マルタはBinanceを受け入れると発表した。 Joseph Muscat(ジョセフ・マスカット)首相は、ツイッターで「マルタへようこそ!マルタは世界のデジタル通貨分野のパイオニアになり、ブロックチェーン技術産業を適切に規制し、世界有数の金融機関にとって最も適した安息地を作り出したい」と語り、またBinanceのCEO 趙長鵬(ツァオ・シャンペン)氏 (CZ氏)は、マルタを最重要拠点として、同社の支社を設立する方針を発表した。
参照記事

マルタが、仮想通貨とブロックチェーンを優遇することは奇妙なことではない。国土が狭く観光以外の資源もない同国にとっては、金融業とデジタル産業の育成は数少ない選択肢のひとつと言っても過言ではない。マルタはデジタル資産投資センターになる方法を模索している。

その2に続く