トルコで仮想通貨需要が急増 リラ急落で

時事できごと

資産を仮想通貨へ逃避させるトルコ国民

 

 トルコでは、仮想通貨の人気が急激に高まり、トルコの仮想通貨取引所では新規アカウント開設の申込みが殺到しているようです。また、取引高も急増し、トルコの大手取引所 Koinim (コイニム)では通常の倍以上の取引高を記録しているとも報じられています。
背景にはトルコの法定通貨(フィアット)であるリラの急落があります。


トルコリラの急落から仮想通貨へ逃避

 今週、トルコリラが急落しました。原因はアメリカがトルコに対して経済制裁を課すと発表したからです。

2年前に起こったトルコのクーデターに際して、アメリカ人の牧師ブランソン氏がトルコ当局に拘束され、未だに解放されていません。両国は牧師解放について断続的に協議していましたが7月の会談で決裂しました。これを受けて、トランプ政権は先週、トルコの閣僚2人に制裁を行うと発表しました。トルコ側も報復としてアメリカの閣僚2人に同様の制裁措置を表明し、関係が急激に悪化しました。
そして、トランプ大統領は8月10日に自身のツイッターにて、
「われわれの強いドルに対し、トルコリラは急落しており、先ほどトルコの鉄鋼とアルミニウムに対する関税を倍に引き上げることを先ほど認めた。アルミはの関税は20%、鉄は50%になる。米国とトルコの関係は今は良くない」とツイート。
I have just authorized a doubling of Tariffs on Steel and Aluminum with respect to Turkey as their currency, the Turkish Lira, slides rapidly downward against our very strong Dollar! Aluminum will now be 20% and Steel 50%. Our relations with Turkey are not good at this time!

このツイート後にトルコ・リラは急落、それまでは1リラ20円前後で推移していましたが、トランプ大統領のツイート後は17円を割る水準まで急落。

また、今回の制裁による急落だけではなく、エルドアン大統領の経済政策への失望などから、トルコ・リラは年初からは40%も下落しており、同国では通貨不安が広がっています。
このような背景があった上に、トランプ大統領の突然の関税引き上げ宣言によって、トルコ国民は自らの資産を仮想通貨へと逃避させ始めました。

これが、現在トルコで起こっている仮想通貨の需要急増の原因です。

ビットコインも年初から50%以上下落しましたが、トルコリラも40%下落しており、この後も沈み続ける可能性があります。それならば資産の一部を仮想通貨に変えてリスクをヘッジしようという考えもあながち間違いではありません。
また、法定通貨と異なり、仮想通貨は世界中どこへも簡単に移動させる事が出来るのも魅力でしょう。


途上国と仮想通貨

 先日、イラン政府が独自の仮想通貨発行について検討中であることを記事にしました。
イランもまた、米国による経済制裁を受けているため、制裁回避の手段として仮想通貨を利用しようとしています。このように、自国法定通貨(フィアット)の信用が低い国家では、仮想通貨の需要が高まります。日本のように、非常に強力なフィアット(日本円)を持つ国に住んでいると実感しにくいことですが、第三世界のような不安定な地域の人々にとっては、少々ボラティリティーが高くとも、ビットコインやイーサリアムの方がよっぽど信用できる資産なのです。

米ドル、ユーロ、日本円などの強い通貨は、いつでも、世界のどこでも、安定して利用できますが、途上国の通貨は簡単に価値が消滅する危険を常に持っています。一方で、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨は、持ち出しも容易で、また安定性も(途上国の通貨に比べれば)高いと言えるため、今回のような事態が起きるのでしょう。

アフリカなどの途上国では、自国通貨だけでなく、銀行までもが信用できないという問題もあります。政府が法律を簡単に変えたり、金融機関や市場に汚職が蔓延していたりするからです。
このような理由もあって、途上国では銀行口座を持たない人が20億人居るといわれています。
この人達にとっては、銀行に口座を開くより、インターネット上でアカウントを持つ方が何百倍も容易なので、仮想通貨がリアルで利用されるようになるのは第三世界の方が早いのではないかとも言われています。

仮想通貨は登場してまだ間もないシステムであり、様々な課題もありますが、今回のトルコの件などからもわかるとおり、急速に「利用価値のある資産」との地位を築きつつあります。
90年代後半から普及し始めたインターネットが、わずか10年ほどで世界を変えてしまったように、仮想通貨も数年で世界の経済を変えてしまうのかもしれません。