ベネズエラ 仮想通貨の中央銀行設置?

時事できごと

憲法改正案で仮想通貨中央銀行設置

ベネズエラのマドゥロ大統領は、憲法会議に対して憲法改正案を提出すように命じました。改憲案には仮想通貨の中央銀行を設置する案も含まれるとのことです。


改憲案は1か月後に発表

 ベネズエラ憲法会議の有力メンバーであるHermann Escarra氏は、先週、首都カラカスでロイターのインタビューに答え、憲法会議は今回の改正案にベネズエラ中央銀行の改革案を提出することを明らかにしました。
「ベネズエラ憲法会議は、仮想通貨のための中央銀行設置や、最高裁判所のさらに上位の裁判所の設置を含めた憲法改正案を準備している」「中央銀行は取引、財政、金融政策機能を持つようになる」とのこととです。
”The National Constituent Assembly of Venezuela…is preparing a reform to the Constitution that would include a central bank for crypto-assets and a superior court to the Supreme Court of Justice.”
“There will be the central bank with its functions in exchange, monetary and financial policy.”

仮想通貨のための中央銀行(a central bank for crypto-assets )というのがどういうものを指すのか詳細は述べられていませんが、Escarra氏は改憲草案を35日以内に提出するとも述べていますので、9月中旬には具体案が示されるものと思われます。


異例の試み

  中央銀行は通貨の番人とも呼ばれ、自国通貨の安定のために、政府から独立して金融政策を実施したり、法定通貨(フィアット)を発行したり、あるいは他の銀行に資金を貸し出したりします。しかし、中央銀行が法定通貨以外に仮想通貨も発行するという例は過去になく、実行されれば世界初の試みとなるでしょう。

米国からの経済制裁に苦しむ同国は、今年の2月に同国産の石油と連動した仮想通貨ペトロを発行し、50億USドルの調達計画を発表しましたが、米国のトランプ大統領は米国民に対してペトロ購入を直ちに禁止しました。結局、ペトロの調達額は50億ドルに遠く届かず、計画は難航していると伝えられています。このような状態で、ベネズエラ政府が「仮想通貨の中央銀行」を発表したことは、様々な憶測を呼んでいます。

新憲法がどのような内容になるのか、また仮想通貨の中央銀行がどのように機能するのかについて、詳細は不明ですが、間違いなく今後の世界各国の仮想通貨に対する取り組みに大きな影響を与えることでしょう。中央銀行が発行する通貨とはとりもなおさずその国の法定通貨です。しかし、ベネズエラの新中央銀行が発行する仮想通貨はいったいどのような位置づけになるのでしょうか?市場で利用できないデジタル通貨を流通させるつもりなのでしょうか? 二つの通貨を用いてどのような金融政策を実施するつもりなのでしょうか?

この試みが成功するにせよ、失敗するにせよ、世界中の経済学者や投資家はこの大胆な計画から目が離せないでしょう。経済史の1ページとして永遠に記録されることだけは間違いありません。