仮想通貨のはじまり(番外編)

深掘り解説

仮想通貨の負の歴史

 

仮想通貨は21世紀に革命をもたらす技術の一つですが、健全に発展してきたとは必ずしも言えない技術です。みなさんの記憶に新しいハッキング事件だけでなく、匿名性を利用した闇取引も仮想通貨の歴史を語る上では避けて通れません。


 

Ross Ulbricht(ロス・ウルブリヒト)
闇サイトの運営者

ロス・ウルブリヒトは、仮想通貨の黎明期にビットコインを悪用した闇サイトを運営して、仮想通貨の黒歴史を築いた人物の一人です。
彼はテキサス大学で物理学の学士号を取得したのち、経済を学ぶために再び大学へ通い、2009年にペンシルベニア大学を卒業します。 その後、自ら起業しますが、彼の最初の事業は失敗します。その後、友人と中古書籍の販売サイトを運営します。 

このとき既に、ウルブリヒトは匿名の売買サイトを運営するアイデアを持っており、後述するTorとビットコインの組み合わせもこの頃には固まっていたようです。

 


Silk Road

ウルブリヒトは、2011年にSilk Roadという闇サイトを開設しました。 Silk Roadでは麻薬や銃などの違法品をビットコインで取引することができ、最盛期には約100万人の登録ユーザーがいました。 
ビットコインの匿名性を利用して取引が追跡できないこのサイトは、麻薬や銃の売人にとって絶好のプラットフォームとなり、サイトが開設された2011年から2年で登録ユーザー数が約100万人まで増加します。 サイトで取引される違法品はエスカレートしていき、密入国の斡旋、人身売買、クレジットカード情報などあらゆるジャンルに及び、そのすべてはビットコインで決済されていました。

Silk Roadにアクセスするためには、The Orion Routerという特殊なブラウザが必要で、このブラウザは利用者のIPアドレスを特定しにくくなる機能があったり、閲覧履歴を残さないなど、違法行為に最適化されていました。 また、管理者のウルブリヒトもサーバーに利用者のIPを残さないよう設定指定していました。

このサイトは、非常に活気があり、当然ながら警察(FBI)の目に留まります。2013年10月、FBIはウルブリヒトを逮捕。逮捕当時、ウルブリヒトは手数料として徴収していたビットコインを14万単位(当時の相場で28億円)を所持しており、彼のシルクロードがどれほど活況があったか、どれほどの取引高があったかが伺えます。


仮想通貨世界への影響

この事件は、アメリカだけでなく世界中でセンセーショナルに報道され、ビットコインの悪名を世界にとどろかせることになりました。当時、世間的には無名だったビットコインですが、残念なことに、ビットコインが世間に注目されるようになった最初のきっかけのひとつは間違いなくはシルクロード事件でした。

結局、ウルブリヒトは終身刑を言い渡されることになりましたが、彼が黎明期の仮想通貨世界に与えた悪影響は非常に大きなものでした。