トークンエコノミクスとトークンマトリクス(その1)

連載解説

トークンエコノミクスとトークンマトリクス
その1 概要

 

仮想通貨の価値を測るときに考慮すべきもののひとつに、トークンエコノミクスとトークンマトリクスがあります。トークンエコノミクスとトークンマトリクスとはどのようなものなのかをシリーズで解説します。


概要

トークンエコノミクス(Token Economics)とトークンマトリクス(Token Metrics)という言葉は、とても新しい概念であるため、2018年現在では明確な定義や共通の見解は存在しません。とはいえ、仮想通貨の価値を測るためには重要な要素ですので、概要だけでも把握しておきましょう。

解りやすく言えば、トークンエコノミクス(Token Economics)は、トークンによって創出される経済圏です。 トークンマトリクスは、トークンエコノミクスの基盤となる各構成要素のことです。 両者は不可分の概念ですが、トークンマトリクスはトークンエコノミクスに内包されます。


トークンエコノミクス(Token Economics)

トークンエコノミクスとは、エコノミクス(経済学)という言葉が表す通り、特定のトークン(仮想通貨/コイン)が作り出す経済活動のことです。トークノミクス(Tokenomics)ともいいます。

仮想通貨はお金ですから、トークン/コインは売買(価値の移転)のために用いられます。ある1つの仮想通貨が、いつ、どこで、誰によって、何のために、何故、どのように、どれほどの規模で用いられるか? これらの構成要素を総じてトークンマトリクスといい、トークンマトリクスを基盤とした経済活動全般をトークンエコノミクスといいます。

 

架空の仮想通貨を例に挙げて解説します。

全国展開している大型ブックストアが、自社グループの本屋で利用できる仮想通貨「ブックコイン」を発行したと仮定します。
このブックストアチェーンの顧客は、ブックコインで本を買う事が出来ます。また、友人や家族に図書券のようにブックコインをプレゼントすることもできます。 

このケースにおけるブックコインのトークンエコノミクスは単純です。 ほぼ図書券と同じような使い方しかできません。 本を買う顧客と各店舗を繋ぐだけ、あるいは図書券のように誰かにプレゼントするなどの使い方くらいしかできません。登場人物は本を買う顧客だけ、購入可能商品は本だけ、利用地域は全国のブックストアグループだけであり、これがトークンの経済圏となります。

これだけでは図書券と同じなので、仮想通貨としての魅力はあまりありません。言い換えると、トークンエコノミクスが限定的であり、規模も小さいため、仮想通貨としての価値が低いと言えるでしょう。

 

したがって、トークンの経済圏を成長させてトークンの価値を高めるべきである、と提言できます。
どのような施策が考えられるでしょうか? たとえば、

  • 古本屋チェーン店と提携して、読み終わった本を売って対価にブックコインが受け取れるようにする
  • 本屋の中にカフェを併設して、ブックコインで飲み物も買えるようにする

このように、利用シーンを増やすことでトークンの経済圏を拡大する事ができますね。

古本屋を経済圏に加えることによって、利用客は本を買ってトークンで支払うだけでなく、本を売ってトークンを入手することもできるようになり、経済の回転が発生します。 また、カフェを併設することによって、本を購入する以外の利用者が見込めるようになります。 

つまり「トークンエコノミクスが拡大した」という事ができます。
これが、仮想通貨のトークンエコノミクスの基本的な考え方です。

次回に続く