トークンエコノミクスとトークンマトリクス(その3)

連載解説

トークンエコノミクスとトークンマトリクス
その3 構成要素

 

前回はこちら

前々回と前回はトークンエコノミクスの概要を解説しました。今回はトークンマトリクスについて解説します。


トークンマトリクス

トークンマトリクス(Token Matrix)とは、トークンエコノミクスを構成する各種要素のことです。

トークンエコノミクス(Token Economics)は、特定の仮想通貨(のトークン/コイン)が作り出す経済圏のことであると前回説明しました。言い換えれば、コインがユーザーに利用されることによって生じる経済活動が広義のトークンエコノミクスです。

経済学(economics)という分野は、非常に広く深い学問ですので、トークンエコノミクスという言葉の定義も人によって大きく異なりますが、この連載では特定のコインが利用されるときに生じる経済活動全般を指しています。

トークンマトリクスは、トークンエコノミクスを構成する各種要素の事を指します。
経済は各種の要素によって大きく形を変えます。 代表的な例をいくつか上げると、その通貨を利用する人口、売買出来る物品の数や利用しやすさ、他の通貨との相対的な価値の変動、流通量、政治や社会の安定などです。

仮想通貨ではなく、フィアット(法定通貨)を例にとって説明しましょう。
日本円は、基本的に日本国内だけで流通していますから、日本の人口や日本の政治に大きな影響を受けます。ユーロは19カ国で利用できるため約3億人の経済圏を持ち、日本円や他の通貨に比べて規模が大きいと言えます。 また複数国家で利用できるため、ギリシャのように1国の経済が破綻してもユーロの相場は比較的安定するなど特殊な要素があります。産業が活溌な国の通貨は強くなります(通貨高)、災害や戦争などが起きると通貨が売られます(通貨安)、政治の安定性、人口推移、産業や隣国との関係などの各種要素がその国の経済に影響し、通貨の価格に直接的に反映されるのと全く同様に、仮想通貨の基盤となる各種要素は、その通貨の価値に直接的に多大な影響を与えるのです。
なお、フィアットはトークンでは無いので、トークンマトリクスという表現は不適切です。

フィアットのマトリクスは非常に複雑です。1つの国家のあらゆる要素が経済に直結するからです。他方、弱小仮想通貨(草コイン)のトークンマトリクスは単純である場合が多いです。 利用者、購入可能な製品、取引できる場所、流通量のどれをとっても小さく、また税金や政治などの複雑な要素が存在しないためです。

次回に続く