仮想通貨のエコシステムとは?

用語集, 連載解説

仮想通貨のエコシステムについて

 

仮想通貨に関連する記事や論文にはしばしば「エコシステム」という言葉が登場します。今回はこの言葉について解説します。

 


概要

 エコシステム(ecosystem) という言葉は、もともとは科学の用語で「生態系」と訳されます。特定圏内に住む生物と環境の関連性を表し、食物連鎖やエネルギー連鎖などが代表例です。
植物が光合成して日光と水と二酸化炭素から有機物を作って成長し、その植物を草食動物が食べ、肉食動物が草食動物を食べ、細菌が死骸や排泄物を分解し、それを植物が養分にし…、という循環構造を理科の授業で習った覚えがあるのではないでしょうか? 食物連鎖だけでなく、花粉を媒介する昆虫、動物に隠れ家を提供する森や岩、物質を循環させる川や海や気候も生態系の一部であり、それは非常に広範で複雑な動物と環境の関連性を含む言葉です。

 これが、もともとのエコシステム(生態系)の意味ですが、「様々な要素が複雑に関連する」ことから、経済学や経営学にも転用されて使われるようになり、最近では仮想通貨世界でも用いられます。

この新しい意味での「エコシステム」という言葉は非常に定義が曖昧で、用いる人によって様々な解釈と意味を持ちます。
今回は、仮想通貨のエコシステムについて、簡単に解説します。


広義のエコシステム

 新しい定義のエコシステムでは、小さい視点では、企業間の協力関係や、一企業とその製品を購入する消費者との関係を指すこともあれば、大きな視点では、一つの社会を形成する多数の企業と消費者と行政などの複雑な利害関係を言うこともあります。

どのような場合でも、当事者のひとつの行動は独立しておらず、他者と影響を与え合うという点が共通します。サプライヤーから購入した製品をバイヤーに販売したり、ライバル企業の新製品によって顧客が奪われたりという関係が想像しやすいのではないでしょうか。このようなケースでは、ほぼ経済学(エコノミクス)に近い定義となり、複雑であいまいな関係となります。 

 

 一方で、もう少し具体的な問題や計画を論じるときに「エコシステム」という言葉が使われるときは、核となる製品や企業があり、それを取り巻く環境を論じる場合が多いです。

 複数の異なる業種の企業がひとつの製品やサービスを共同で開発して展開していき、小さなマーケットを構築するようなケースが好例でしょう。この場合は、少数企業によるアライアンスやコラボレーションなどよりももっと大きな関係と市場規模を意味します。ときにはライバル関係にある企業同士が、業界全体を盛り上げるために共同で宣伝活動を行ったり、あるいは国境を超えて世界規模で新規市場を開発する場合もあります。言い換えれば、数社が参加する共同プロジェクト程度の規模では、エコシステムという言葉が使われることは少ないように思われます。

 マンガやアニメなどがメディアミックスで展開していく例は解りやすいでしょう。
1つの漫画を核にして、アニメ化、小説化、映画化したり、関連グッズが作られたり、キャラクターをパッケージに使った商品が展開されたり、町興しをしたという記事を目にされたことがあると思います。この場合は、その元となった漫画を中心としたエコシステムがある、と表現する事が出来ます。
また、Googleが提供するアンドロイドOSは、スマートフォンというハードウェアだけでなく、アンドロイドOS上で稼働するソフトウェアや、そのソフトウェアを通じて行われるユーザー同士の繋がりまでも含めた、非常に広範囲なエコシステムを構築していると言えます。

では、仮想通貨世界でエコシステムという言葉が用いられるときはどのような条件が考えられるでしょうか?

小規模なものは、ひとつの草コインが持つ小さなコミュニティーから、大規模なものでは、複数の仮想通貨が関連する市場横断的なエコシステムまでさまざまに考えられます。

次回に続く