仮想通貨のエコシステムとは?(その2)

用語集, 連載解説

仮想通貨のエコシステムについて

 

前回はこちら
仮想通貨に関連する記事や論文にはしばしば「エコシステム」という言葉が登場します。仮想通貨のエコシステムという言葉が使われるとき、それはどのような意味でつかわれるのでしょうか?

前回は、伝統的な市場で使われる場合の「エコシステム」の意味を紹介しました。では、仮想通貨市場ではどのような定義で用いられているのでしょうか?


仮想通貨「エコシステム」の定義

 結論から言うと、語り手によってその意味するところは全く異なり、明確な定義があるわけではない、というのが答えとなります。仮想通貨は新しい技術であり、また新しい方の意味の「エコシステム※」もまだまだ認知度が低い言葉であるため、共通の認識や定義はできていないようです。

※ 生物学で用いられる「生態系」ではない方のエコシステムのこと。

 仮想通貨世界では、「エコシステム」という言葉は最近の流行語になっているようで、仮想通貨に関連した記事を読むときや講演を聞くときには、頻繁に「エコシステム」という言葉が登場します。しかし、語り手によってその意味するところは全く異なるようだ、というのが実態でしょう。

トークンエコノミクスとほぼ同義で使う人もいれば、特定の通貨を取り巻く環境という程度の意味でエコシステムという人もいます。または、ブロックチェーン技術と仮想通貨市場全体を表す巨大な概念としてエコシステムと言っている人も見かけます。

伝統的な市場の経済学や経営学で用いられる「エコシステム」も、小規模なものから大規模なものまで語り手によってスケールが異なりますが、こちらの場合は少なくともごく小規模な企業協力や未発売の新製品に対してエコシステムという言葉が使われることは(滅多に)無いのに対して、仮想通貨の場合は、ICO段階の草コインにまでエコシステムという言葉が使われており、いささか無節操にすぎるきらいがあります。


「エコシステム」ってなに?

 では、実際に『仮想通貨のエコシステム』という言葉が出たときにそれはどんな意味で使われていてどう理解すれば良いのでしょうか?
上記の通り語り手によって大きく異なりますが、大きく分類すると次のような意味で用いられることが多いようです。

  • 特定の仮想通貨を核にした商品やサービスの在り方と、その利用者の関係
  • 特定の仮想通貨が使われる状況(利用シーン)と、それを使う人々の関係
  • トークンエコノミクスやトークンマトリクスと同義
  • 仮想通貨の市場(すべての仮想通貨を含む)と参加者
  • 将来の可能性までも含めた、仮想通貨とブロックチェーンを取り巻く環境のすべて

このように、その定義はとても曖昧です。前後の文脈やトピックから、語り手の伝えたいニュアンスを察するしかないのが実際のようです。前回紹介したような、伝統的市場で使われるエコシステムの意味はもう少し限定的なのですが、新興市場である仮想通貨世界では、しばらくはよく分からない言葉として使われ続けそうです。

(おわり)